日本の防衛政策の方向を示す防衛白書が毎年発行されているが、最初の発行は今から47年前の1970年10月だ▼戦後25年目、自衛隊発足から16年目に発行されたその白書は、国防の基本に「専守防衛」を掲げ、当時の佐藤首相は「日本は経済大国にはなるが、軍事大国にはならない」と全世界に言明した▼ところが実際はどうか。確かに日本は世界第3位の「経済大国」になったが、一方で軍事費は当時の約10倍の5兆2000億円に増強され、今や世界第8位の「軍事大国」だ▼特に数の力で「戦争できる国」に強引に法律を変え、衆院選も野党の自滅で6年目の長期政権に入った安倍首相。「経済優先」を言いつつ、「軍事大国」にまっしぐらだ▼この結果、自衛隊もこれまでは憲法9条の下、戦争がないため各地の災害救助で感謝されてきたのが、今はいつ戦争に駆り出されるかの危険な職業に大きく変質した。しかし日本はかつての戦争の危険を避けるため、いま一度白書の原点に戻るべきだ▼軍事費は小泉から野田に至る7代の政権が着実に減らしてきたのを安倍政権が過去最大に増強した。子どもたちの未来のため、消費増税せずその巨額の軍事費を宮古、石垣への自衛隊配備費を含め教育無償化などに充てるべきだ。市長もそこを首相に求めるべきだ。(上地義男)
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