世界に誇るべき貴重な海域を未来に引き継ぐ。サンゴ礁が織りなす豊かな生態系と美しい景観を保っている慶良間諸島が、国内31番目の国立公園に指定された▼座間味や渡嘉敷、阿嘉、慶留間など大小30余の島々からなる慶良間諸島は、沿岸海域の透明度が高く、どこまでも青く透き通った海の色は「ケラマブルー」と表現される▼海域は、約250種のサンゴが生息する国内有数のダイビングスポットのほか、沖合を回遊するザトウクジラのホエールウオッチングの名所として知られる▼環境省の中央環境審議会は、答申で「日本を代表する傑出した景観」と高く評価。次代に残す宝の海域を「保全」と「利用」の観点から、人間と自然が共存できる関係構築に期待している▼一方、八重山にも世界に誇れる西表石垣国立公園がある。自然が残る西表島と石垣島をはじめ、両島との間に位置する国内最大規模のサンゴ礁群である石西礁湖の海域、隆起サンゴ礁の黒島、竹富島、小浜島、新城島、仲の神島などからなる日本最南端の国立公園だ▼二つの国立公園は、沖縄がいかに世界有数の貴重な海域を保有しているかを象徴している。私たちは、海からさまざまな恩恵を受ける自然が豊かな郷土に住む。だからこそ、次代に継承する宝の海を守り続ける大切さを忘れたくない。(鬚川修)
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