【那覇】識名トンネル建設の虚偽契約問題をめぐり、県内在住の住民11人が仲井真弘多前知事や当時の県土木建築部長、南部土木事務所長、工事を請け負ったJVの4者で国への補助金返還額のうち利息分の7177万円余りを連帯して支払わせるよう翁長雄志県知事に求めた住民訴訟の判決が19日、那覇地裁(剱持淳子裁判長)であった。剱持裁判長は、建設工事契約の一部の違法性を認め、元県土木建築部長で現石垣市副市長の漢那政弘氏と元南部土木事務所長に計7177万円の賠償を請求するよう翁長知事に求める判決を言い渡した。仲井真前知事とJVに対する請求は退けられた。
この問題で県は、会計監査院から「虚偽の契約書などを作成し、工事の実施を偽装。不適正な経理処理を行い補助金の交付を受けた」との指摘を受け、国庫補助金5億708万円と利息分7177万6779円を返還している。
判決では、元南部土木事務所長が虚偽契約の締結に積極的に関与したと認定。漢那氏については「しかるべき調査をして、これを認識すべき義務があったにもかかわらず、これを怠り、注意義務に違反して阻止しなかった重大な過失があると言わざるを得ない」とした。
県は今後、判決文を精査して控訴するかどうか検討するとみられる。
仮に地裁判決が確定した場合、地方自治法242条に基づき県は確定の日から60日以内に両者に対して損害賠償請求か損害賠償命令を出し、支払いがない場合は裁判を起こさなければならない。
住民側弁護団の山城圭団長らは同日、那覇市内の沖縄弁護士会館で記者会見し、「全額認められたのは評価できるが、判決が出るまで県が何もせずに放置していた点は反省すべきだ」と述べた。
原告の一人は「(当時の土木建築部長の)漢那氏は、石垣市の副市長を務めている。このことを重く受け止めて任に当たってほしい」と話した。