4月からの消費税増税の影響で、市内の建築設計事務所では、一戸建て住宅の受注数が大幅に増加している。ある設計事務所によると、昨年10月の増税決定前から毎月の受注数が2倍に増加。中には今年3月中の完成が間に合わず受注破棄するケースも出ているという。一方では4月以降の住宅建設の冷え込みを心配する声も。また、市内家電量販店などでは、住宅建設と連動して2月後半から冷蔵庫や洗濯機などの家電の売れ行きが伸びており、在庫を確保しながら今後の駆け込み需要に備えている。
八重山土木事務所建築班によると、昨年10月から今年1月までの建築物の確認済証交付件数は、112件で前年と比べ29件増加。担当職員は「増税決定後の10月から年末にかけて申請が多く、駆け込んでいる印象を受ける」と話している。
注文住宅の消費税率は、2014年3月31日までに引き渡しが完了するか、13年9月30日までに請負契約を締結していれば、引き渡し時期にかかわらず5%が適用される。
市内の建築設計事務所の代表は「増税決定後、住宅の受注と客からの問い合わせが増えた。設計士の人数も限られているので仕事が追いつかず、こちらから断るケースもある」と述べ、建設が「待機状態」にあるという。
増税決定後に住宅の購入を決めた男性(37)は「購入を考えていたときに増税となって残念。3%増しは仕方ない」と話した。
また別の事務所の代表は「東日本での建設や東京オリンピックの影響で石垣から出稼ぎに行く人もいて、人手不足の上に材料も高騰している。完成が遅れるのを知るとキャンセルする客もいる」と不満を漏らしている。
一方、市内の家電量販店の店長は「増税前の住宅ラッシュと家電の関係はつながる」と分析し、2月後半から冷蔵庫や洗濯機などの需要が伸び、通常より在庫を多く確保して今後の駆け込みに備えているという。
店長は「増税前に住宅を建て、家電を買い替える客が増えた。建物の完成が遅れているので店側で預かっている状態も。来店客や問い合わせも多く、今後も購入者は増えてくるだろう」と予想している。