【台北】国立科学博物館の「3万年前の航海徹底再現プロジェクト」は、台湾の竹を使ったいかだで2019年に台湾から与那国島までの航海を試みることになった。昨年7月に与那国島から西表島を目指した草舟に続く取り組み。台湾の国立台湾史前文化博物館(張善楠館長、台東市)が共同で取り組むことになり、2日には台北市内で合意書を取り交わした。同プロジェクト代表の海部陽介人類研究部・人類史研究グループ長は「遠い祖先がどうやって沖縄までたどり着いたのか知りたい。多くの人々とおもしろさをシェアしたい」と話している。
同プロジェクトは、日本列島に人類が到達したルートのうち、沖縄ルートの再現・検証に取り組む。
台湾から与那国への航海に使ういかだは、台湾の先住民族のひとつ、アミ族の竹製のいかだを参考にし、台東地区で伐採した竹で今月下旬から来月にかけて製作。6月上旬には台東で試験航海を予定している。丸木舟で渡った可能性も検証し、18年までの2年間かけて実験・研究した後、19年に台湾から与那国に向けて航海を試みる。
南西諸島では、直接測定によるものとしては最古となる2万年前の人骨が白保竿根田原洞穴遺跡(石垣市)で見つかるなどしており、海部センター長は「(人類は沖縄へ)台湾から行った可能性がすごく高いと思う。台湾と与那国の間には黒潮があるが、祖先は黒潮を渡るのに成功した。それがどれだけ難しい挑戦だったかはわかっていない」と話す。
同プロジェクト事務局は、3万年前の人類がどのように沖縄の島を認識していたのかを検証するため、台湾から沖縄の島が見えるかという点に関する情報の提供を呼び掛けている。問い合わせは同事務局(koukai@kahaku.go.jp)(松田良孝通信員)