バンダイナムコグループでネット事業を展開している㈱VIBE(バイブ、東京都)は、㈱国建、新糸満造船㈱と共同でEV船(電気推進船)の実用化に向けて取り組むことを14日、市役所記者クラブで発表した。すでに設計は終了しており、今年10月ごろの完成を目指して造船に入る。完成後は試験運航を経て、2015年4月ごろ、石垣港離島ターミナルをベースに商業運航を開始する予定。これに合わせて管理、運航する委託先を来月早々にも公募する。会見はバイブの志賀淳二取締役、同事業のアドバイザーを務める東海大学の山田吉彦教授、中山義隆市長が行った。
今回の取り組みは、亜熱帯・島しょ型エネルギー基盤技術開発費補助事業を活用して行われ、電気推進客船の実用化を目指し、バイブと石垣市が連動してマリンレジャーなどの観光業で活用検証を行うもの。事業費は12年から3年間で約6億円。実現すれば、電気エネルギーを利用することで海洋汚染や燃料コストなどの課題が解決できるという。
船体は廃船処理を考慮し、アルミニウム合金を使用したカタマラン(双胴船)。全長19・5㍍、全幅6㍍で速度は8ノット。1回の充電で2時間航行可能。石垣港には蓄電池を備えた充電基地を設置する。船底の一部には強化ガラスを使用し、水中が観賞できる。また水中ロボットを積載することも計画している。
山田教授は「喫水が浅いことや振動が少なく、臭いもないのが特徴。石西礁湖などで活用できるのではないか。海洋基本計画の象徴的な存在にしたい」と話した。
中山市長は「これをEV船の主流にしたい。観光コンテンツづくりの第一歩。実用化できれば世界自然遺産登録を目指す竹富町にとってもメリットになる」と期待した。