■犠牲者を弔い灯籠流し
きょうは広島に原爆が投下された日である。一瞬にして約14万余の尊い人命が奪われた。熱線や放射線、爆風を浴び傷ついた被爆者たちは水を求めて元安川へ飛び込んだ。だが、やがて息絶えて死んでいった。
遺体は流され、広島港から南へ3㌔の似島に着いた。似島には広島から被爆者が運ばれ手当を受けたが多くの被爆者が亡くなった。そんな人たちを祭るために岬の先端に原爆慰霊碑がひっそりと建つ。元安川では毎年8月6日夜、犠牲者を弔い灯籠流しが行われる。供養の灯籠が似島の岬にある慰霊碑のある浜までたどり着くことを願いたい。
■核兵器の終焉に英知を
去る5月27日、アメリカのオバマ大統領は広島を訪問し「アメリカを始め核保有国が勇気をもって核兵器のない世界を追い求めなければならない」と核兵器廃絶への決意を語った。しかし世界は広島、そして3日後の9日に原爆投下された長崎市民、オバマ大統領の核兵器廃絶の願いとは遠い現状だ。核拡散防止条約(NPT)で、核兵器の保有を認められているのはアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国である。これらは国連常任理事国であり、核保有の優位性によって他国に侵略や威嚇を行ってきたのは周知の通りだ。
当然、条約に反発し「特定国家のみに核保有の特権を与える条約である」と加盟を拒否した国もある。大国の横暴が生み出した帰結と言える。とはいえ、現在の中東、アフリカ等の戦争やヨーロッパにおける武装集団に核兵器が渡ればどうなるか、想像するだけでも恐ろしい。悪魔の兵器の開発に血道を上げるのではなく、核兵器の終焉にこそ人類は全英知を傾けるべきだ。
■基地や核廃絶を星に願う
沖縄での核使用計画は1955年、沖縄を反共の拠点とするため、米軍は武装し宜野湾市伊佐浜や伊江村真謝軍用地として強制収容した。高まる住民の地代の一括払い、四原則反対運動に米国民政府は有事の「琉球民間防衛計画」を策定した。
沖縄に駐留する米軍への敵対行動に対し「戒厳令」を布告し「軍事目標及び都市地域に対して協定による高性能爆弾及び燃焼兵器、核または核兵器を使用する恐れがある」という。この計画が報じられたのは24年を経た79年である。米軍が弾圧のため核兵器を使用していたら沖縄はどうなっていたのだろうか。身の毛立つ。
65年、米軍は北ベトナムを攻撃し、沖縄基地からも長距離爆撃機による猛攻撃が行われていた。鹿児島県の喜界島沖でベトナム攻撃後、帰路についた米航空母艦タイコンデロガから、水爆を搭載したままA4スカイホークが転落、水没するという事故が発生した。
場所は喜界島の南東150㌔付近で水没海域は水深5000㍍、回収不能とされ、日本政府の調査で放射能汚染はないとされた。あれから51年、腐食がすすみ、放射能漏れはないのか。放射能漏れともなれば、九州はもちろん、黒潮に乗って日本列島が汚染される可能性は十分にある。記憶の風化とは反対に危険度が増している。日米両政府は再調査すべきだ。
きょうは石垣島一斉ライトダウンの日でもある。石垣島は88星座のうち84星座が見え、天文学者が選ぶ日本一美しい星空で1位。日本三選星名所にも選ばれている。
壮大な宇宙や星座の歴史や星座の位置を家族で楽しみながら、人類の住むかけがえのない地球を汚す軍事基地や核兵器の廃絶を星に願いたいものだ。