■1~2月は6割近く欠航
竹富町長選挙は8月28日の投票まで約1カ月に迫った。3選出馬する現職の川満栄長氏への対抗馬はまだ決まっていないが、今町長選は欠航が多く、島の人々の暮らしや産業振興に大きなブレーキになっている波照間航路の安定化も争点にさせるべきだ。
その上で波照間の人々は、同航路の早期安定化に取り組む人を町長に選ぶべきだ。それは同航路が島の暮らしに欠かせない唯一の公共交通であり、ライフライン(命綱)だからだ。
そこでまず波照間航路の27年度の欠航率を見てみる。高速船は1日4便が運航しているが、月別の欠航率は27年4月13.3%、5月13.7%、6月41.7%、7月50%、8月26.6%、9月10%、10月29%、11月21.1%、12月50.5%、28年1月53.8%、2月56.3%、3月20%といった具合。
これに対しお隣の西表島大原航路はどうかというと、欠航があったのはいずれも台風の影響によるもので5月1.4%、7月9.7%、8月18%、9月9%の欠航率で、それ以外の8カ月は100%の運航だ。それは竹富、小浜など他の島々も同様だ。いかに波照間は交通が不便かが分かるだろう。
■観光客の人気は高いが
それは西表や小浜など他の島々がリーフに囲まれ、ほぼ年中波が穏やかなのに対し、波照間は大海の中にあって天候や南風の影響を受けやすいからだ。
その結果、波照間航路は時に何日間も欠航が続き、島の人たちはその間石垣で足止めを食い、その滞在費は家計を圧迫。さらに島の子どもたちも欠航のために石垣や那覇の大会に参加できず悔しい思いをするなどその精神的、経済的ダメージは計り知れない。
観光も日本最南端の島として人気は高いが、欠航で行けなかったり、島に閉じ込められたりで観光客が行きたくても安心して行けない状況がある。
この交通の不便さがいかに島の人々の暮らしにダメージを与え、観光をはじめ島の産業振興のブレーキになっているか。そしてそれが急速に進む過疎化の要因にもなっている。
■企業任せの川満町政
これに対し竹富町と安栄観光は「町と県で既存の190㌧余のフェリーに代わる600㌧級の大型フェリー建造を8月か9月までにめど付けし、来年4月には就航させる」と強調しているが、これまでの町や会社の取り組みを見るとにわかには信じがたい。
特に川満町長は交通が島の浮沈を左右する重要な問題にもかかわらず、企業任せの姿勢は、はなはだ疑問だ。
本島北部の伊江島は村営で600㌧級と900㌧級の二隻の大型高速フェリーが、ほとんど欠航もなく本部港と一日4往復30分で結んでいる。波照間と伊江島を単純比較はできないが、本島周辺の離島は久米島を除くすべてが村営なのは海上交通が唯一の公共交通であり、ライフラインだからだ。
それだけに竹富町長選では、来年4月就航の可否と大型フェリーだと所要時間はどれだけかかり、欠航率はどれだけ改善できるかなど町の関与の是非も含めて具体的な説明があるべきだ。その上で波照間の人々は親身に島のことを考える人を町長に選ぶべきだ。