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復帰44年の5月に思うこと

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■なぜ「児童館」が無いのか

 5月は1年の中でも際立って多彩な行事が多いように思う。1日の労働者の祭典メーデーでは、格差社会を拡大する非正規雇用の是正にもっと若者たちや地域が声を上げる必要性を痛感。こどもの日、母の日ではなぜ八重山に「母子生活支援施設」や「児童館」がないのかとその必要性を感じた。

 いずれも非正規雇用による低賃金で深刻化している「子どもの貧困」=「教育格差」=「貧困の連鎖」と関係しており、中でも母子生活支援施設や児童館は、貧困対策や子育て支援の面からひとり親世帯が急増する石垣市で早急に造るべき最も必要な施設だ。

 お隣の宮古も母子支援施設はないが、児童館は1億4千万円を投じて放課後児童クラブや子育て支援センターを併設して、去る4月オープンした「ひらら児童館」をはじめ大小で五つもある。しかし石垣では類似の子どもセンターがあるが、児童館はない。

 5月前半はこのほかに“壊憲“の危機にある憲法記念日、八重山の代表的な伝統工芸品のミンサーの日、離島経済を支える黒糖の日、ゴーヤの日、愛鳥週間などがあり、12日は民生・児童委員の日だ。引き続き地道な活動で地域の独居老人など社会的弱者に目を配り、支援につなげてもらいたい。

■許されない不条理な沖縄差別

 中下旬は15日の本土復帰記念日をはじめ禁煙を求める世界禁煙デー、消費者の日、ごみゼロの日などがあり、27日は県議選告示で来月5日の投票に向け選挙戦が本格化する。

 本土復帰には県民の大半が評価する一方、基地問題に関しては44年を経た今なお負担軽減の言葉とは裏腹に、むしろ離島の先島にまで自衛隊を配備するなど沖縄の軍事要塞(ようさい)化を進める政府の不条理な「差別」に反発は強い。

 現在名護市辺野古の新基地建設は裁判所の和解に応じて“休戦状態”にあるが、安倍政権は依然強硬姿勢であり一連の選挙結果の「辺野古ノー」の民意を無視して建設を強行する政権の理不尽な強権は許されるべきでない。

 そういう中で県議選が行われるが、それは翁長県政に対する中間評価となるものであり、さらに7月の参院選の前哨戦となるものだ。いずれも勝利して基地問題を終わりにしたいものだ。

■安保法廃止法案を放置

 安倍政権はその参院選で3分の2議席確保を目指しているが、その通り政権側が大勝となれば逆に数の力で憲法は改正され、沖縄差別の辺野古新基地も石垣の自衛隊配備も止められず、この国は安倍政権のなすがままだ。

 そのために同政権は選挙に不利と思われるTPP関連法案を先送りし、野党が提出した安保法廃止法案は「反安保闘争」の再燃を恐れて放置。同法に基づく南スーダンPKOへの任務拡大や日米共同訓練などもすべて参院選後に先送りする姑息(こそく)さだ。そういう政権の巧妙な手法に惑わされてはならない。

 ところで熊本地震は5月中旬に入った今も余震が続き、被災者は厳しい生活を強いられている。そういう中で八重山でも支援の輪が大きく広がっているのは被災地の人々を勇気づけるものだ。長期戦となる復旧・復興に支援を継続し、一方で被災対応も学びたい。


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