林野庁九州森林管理局は6日午後、石垣市内のホテルで第3回西表島森林生態系保護地域保全管理委員会(座長・芝正己琉球大学教授、委員8人)を開き、「奄美・琉球」の世界自然遺産登録を見据えた保全管理計画の策定に向けて意見を交わした。委員会では、利用ルールについて意見を交わすとともに、実効性を確保するためにもガイド制度の導入を求める意見が上がった。
西表島森林生態系保護地域は西表島の国有林の84%に当たる2万471㌶で設定されており、中心部の9999㌶が保存地区、その周囲を取り囲む1万471㌶を保全利用地区に指定している。
この日の会議では、森林管理局から同地域の利用のあり方や利用できるルート、横断道のテント設営箇所、緊急避難候補地、外来植物種対策、モニタリング案が示され、委員らが活発な意見を交わした。
現地の状況について西表島エコツーリズム協会の徳岡春美事務局長は「ガイド業者は合計で60ほどあると想定している。カヌー組合に加入している業者は把握できるが、加盟していない業者もおり、今シーズンからさらに業者が増えるという話もあり現状が把握できていない」と述べた
県猟友会八重山支部の高田見誠副支部長も「狩猟期間中の西表にはイノシシ用のワナが設置されており、ルートから外れるとワナにかかったイノシシと遭遇する危険がある」と懸念を示した。
琉大の伊澤雅子教授は「利用ルールをつくっても、実際に現地に入るとどこまでが保全利用地区でどこからが保全地区なのか分からず、分かるのは現地のガイドだけ。ガイド制度をつくらなければ利用ルールの実効性がなくなってしまう」とガイド制度の創設を求めた。
同局では11月に第4回委員会を開いて骨子案を提示し、来年12月には保全管理計画をまとめたい考え。