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参院選が分岐点の憲法

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 ■きょう70回目の憲法記念日

 

 日本国憲法が施行されてきょうで70年になる。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3原則をうたうその憲法がかつてない危機を迎えている。安倍首相が7月の参院選で憲法改正を争点にし、与党と野党の一部で国会に改憲発議できる3分の2議席を確保して2018年9月までの在任中の憲法改正を打ち出しているためだ。

 「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍首相は就任以来、まるでかつての“軍国主義”を目指すかのように、「愛国心」を盛り込んだ教育基本法改正を手始めに、憲法改正のための国民投票法や特定秘密保護法制定、武器輸出禁止3原則の事実上の撤廃などを次々数の力で強行。昨年はさらに憲法を形骸化する集団的自衛権の行使を認める安保関連法の制定を強行した。

 そして今年は年明け早々、安倍首相の最大の悲願である憲法9条改正を打ち出したのだ。

 

 ■「緊急事態条項」から着手?

 

 しかしなぜ安倍首相はそれほどまで「平和主義」の憲法9条を敵視し、改正に前のめりなのか。昨年6月の沖縄の慰霊祭では「戦争屋」の罵声を浴びせられたが、本当に安倍首相は戦争が好きなのではないかと思えるほど「積極的平和主義」を唱えながら戦時体制に突き進んでいる。平和を求める人々にとっては1日でも早く退陣してほしい極めて危険な首相であり政権だ。

 今回の参院選で3分の2議席を確保できれば首相は、すでに衆院は3分の2議席を確保しており、野党時代の12年に制定した自民党の憲法改正草案を次々実行に移すことになるだろう。

 それは武力放棄と国の交戦権を認めないとする9条を改正して「国防軍」の設置と自衛権の発動は妨げないに改めるなど名実ともに「平和国家」に決別。さらに現在「象徴」の天皇は「元首」、「表現の自由」も公益と公の秩序を害する活動、結社は認められないなど、随所に国民尊重より国家尊重に重きが置かれる復古的なものだ。

 そして改正は、まず国民の理解が得られやすいテロ攻撃や大規模災害時の「緊急事態条項」新設から着手し、その後に「本丸」の9条改正に踏み込むシナリオを描いているとされる。

 しかし同条項も、ドイツはヒトラーの独裁政治につながったとされることから、当初理解を示していた野党も、今は反対する極めて危険な条項だ。

 

 ■日本の転換点になる参院選

 

 こうした危険極まりない憲法改正を許すかどうかはすべて参院選次第だ。改憲勢力は今回78議席確保すれば3分の2の162議席に到達する。

 これに対し民進党や共産党などの野党も32の1人区のうち既に21区で、統一候補を擁立するなど、改憲阻止と安保法廃止に背水の陣だ。

 参院選の結果は、日本が堂々と「国防軍」を有し、テロの危険と隣り合わせの名実ともに「戦争できる国」になるのか、戦後71年間誰1人殺し殺されることがなかった「平和国家」に踏みとどまるかの日本の転換点となるものだ。そしてそれは沖縄では辺野古新基地や自衛隊阻止につながるものだ。

 しかし安倍政権の選挙戦術は「何でもあり」で巧みであり、それにだまされないしっかりした見極めが必要だ。


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