きょうは憲法記念日。戦争の傷跡癒えぬ時に、平和憲法を手にした日本国民は幸いであった。たとえ「押し付け憲法」と言われようと「非戦」「人権尊重」を掲げるその理念は尊い▼施行5年後、4・28日米講和条約で日本は主権を回復したが、沖縄には「屈辱の日」だった。米軍圧制下で本土から沖縄へ基地集中が進み、基本的人権をじゅうりんされ続けた。だから憲法に恋い焦がれ、復帰によって核も基地もない平和な沖縄を願ったのだ。なのに、である▼憲法は今まさに転換点にあり、安倍政権による立憲主義の破壊が進む。歴代政権が戦後一貫して否定してきた集団的自衛権行使を閣議決定であっさり認め、特定秘密保護法案、憲法学者のほとんどが「違憲」と断じた安全保障関連法案を強行採決した▼下位法による最高法規の簒奪(さんだつ)である。80年前のドイツと似ていないか。参院選で「自民1強」なら総理悲願の9条改憲、世界で米国と共に戦う「国防軍」誕生だ▼辺野古を見よ。基本的人権、自治や自己決定権など、憲法が保障する権利が沖縄にはないが如く新基地押し付けが続く。全国のどこにこんな差別があるか▼日米両国は沖縄の民意を無視し、民主主義を否定して恥じない。憲法をどう読んでも、そんなゲスな理念は書いていない。(慶田盛伸)
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