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八重山にも母子支援施設を

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■県内では3市が設置

 先日那覇市内で開かれた「子どもの貧困」をテーマにした沖縄タイムス社の沖縄こども未来プロジェクト創設記念シンポジウムで、フロアの石垣市の女性から「石垣市には児童養護施設はあるが、母子生活支援施設がないため親子が離れ離れで暮らしている現状がある」と八重山にも母子生活支援施設の設置を要望する声があった。

 同施設は児童福祉法で定められたかつての母子寮。地方自治体や社会福祉法人が建設費や運営費を国、県の補助で設置し、離婚や死別などで生活に困窮している母子世帯や夫の家庭内暴力(DV)被害の女性らを一時的あるいは2~3年間受け入れ、施設長をはじめ母子支援員、少年指導員、保育士、調理員などの職員が退所後のケアも含め総合的な自立支援を行っている。

 県内では那覇市、沖縄市、浦添市の3市が設置。それぞれ20世帯が入居しているが、沖縄は子どもの貧困率が2人に1人の58.9%と突出して高いひとり親世帯やDV被害の女性が全国に比べて多く、同施設の潜在需要は相当数に上るとみられている。

■潜在需要高い石垣市

 石垣市も子どもの貧困率が高い児童扶養手当受給のひとり親世帯は、2012年の829世帯が今年は994世帯に増加。中でも収入の低い生活の苦しい母子世帯は、12年の701世帯が昨年は791世帯に増え、同世帯の子どもの数は約1500人に上るため、潜在需要は同様の傾向かそれ以上だろう。

 中には生活が苦しいため、石垣に母子生活支援施設があれば親子が一緒に住んで自立を目指すべきなのに、同施設がないため子ども4人を児童養護施設に預け、自分は車上生活する30代の母親のケースもある。深刻化している貧困の連鎖を断ち切るため、石垣にも母子生活支援施設をぜひ設置すべきだ。

 母子世帯支援は、県も12年度から一括交付金を活用して全国初の「母子家庭生活支援モデル事業」を実施。これを市町村にも広げ、現在宜野湾市とうるま市も同事業を実施している。

■県がモデル事業実施

 児童扶養手当受給の母子家庭や父子家庭を対象に、県が民間アパートを借り上げて家賃を援助しながら、専任のコーディネーターが作成した自立支援プランを基に自立に向けた学習、就労、子育て支援などを総合的に行っており、対象はそれぞれ20世帯、期間は原則1年となっている。

 県は石垣市でも17年度に同事業を実施したい考えだが、これに対し識者は「県の事業はある程度、泳げる人に手を差し伸べるもので、本当に泳げず困っている人は助けての声も出せず孤立している。そういう母子を助けるには周りが代わって声を出すべき」だとし、そのためにも「県は母子生活支援施設をもっと増設すべき」と強調する。

 石垣市で建設する場合は市直営か社会福祉法人のいずれかだろうが、それまでの間は県の同事業活用も検討するべきだろう。20世帯54人が入所する那覇市の施設長は「施設は貧困や病気などで希望を失った母親や子どもを孤立させずに希望を持たせる場、人生をやり直せる場だ。建設に金はかかるが、着実に成果はある」と必要性を語る。


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