石垣島に自衛隊の配備を計画する防衛省は22日夜、市民会館中ホールで住民説明会を行い、日本を取り巻く安全保障環境が厳しいと説明した上で「自衛隊配備の空白地帯を埋める必要がある」と強調した。配備先候補地となっている平得大俣東の市有地や周辺の位置や面積については「受け入れをお願いしている段階。確定していない」と述べるにとどめ、昨年11月に中山義隆市長に説明した以外に新しい情報は出なかった。
沖縄防衛局の森浩久企画部長は説明会終了後、位置や面積について「市が受け入れた後、地権者との話し合いで(同意が得られるという)感触をとれないと図面を引くことはできない」と報道陣に述べ、市が配備を容認した後に具体化させる意向を明らかにした。
説明会では、住民投票で反対の意思が示された場合の対応を問われ、森部長は「仮定の質問には答えられない」と明言を避けた。
「力の空白があるから力を入れるのは力対力の発想。島が安定性を欠いているとは思わない。今までのままでよい」「自衛隊が配備されると標的になるのではないか」などと疑問視する意見に対し、防衛省側は「空白があることが不安定化を招き、地域の安定性を損なう。空白を埋めることで未然に紛争を防止できると考えている」と答えた。
防衛省によると、事前に受け付けた質問は15人、141件。説明会ではスクリーンで一部の回答を紹介。近くホームページ上ですべての質問事項への回答を掲載するとした。
説明会では質疑が途中で打ち切られたため、参加者から再度、説明会の開催を求める声が相次ぎ、森部長は「市と相談したい」と報道陣に述べた。
防衛省側は説明会で▽日本を取り巻く安全保障環境▽配備予定の警備部隊、地対空誘導弾部隊、地対艦誘導弾部隊▽配備候補地での施設整備などについて写真や図を使用して説明。東日本大震災での自衛隊の災害派遣活動も映像で紹介した。
会場に用意された250席は満席。ロビーや屋外に設置されたモニターを見る人もいた。