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なぜ石垣市が主催せぬ

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■防衛省主導の説明に疑問

 防衛省主催の自衛隊説明会が22日、市民会館中ホールで一般市民を対象に行われる。

 防衛省、沖縄防衛局、陸上幕僚監部が出席し、2時間の予定である。住民説明会を円滑に進めるため、事前に質問を沖縄防衛局や石垣市のホームページで受け付けている。石垣市の未来に関わる問題でありながら、なぜ市が主催しないのか。

 防衛省主催となれば防衛省が主導し積極的な推進説明会となることは明白であろう。主催者にとって都合の悪いことなど回答するはずがない。このような地方自治の精神を放棄するような態度は市長や与党市議の国防、外交は国の専権事項という姿勢が色濃く反映している。

 中山義隆石垣市長は2016年度の施政方針で「防衛省から必要な情報の提供を求めつつ市民に対して情報をオープンにしながら議論を進めていきたい」としているが、市は一般市民に自衛隊配備計画について一度も情報を提供したことはない。

 3月29日、知念辰憲石垣市議会議長や中山市長らは防衛省に情報開示と説明を求める要請決議を提出した。要請決議は「騒音、安全性、環境に対する配慮等について情報の開示」を求めている。

 本来、市民の生活に深く関わる問題についての情報は、石垣市が積極的に収集し市民に開示すべきではないか。他人任せの消極的態度は怠慢にしか映らない。そのうえ資料もないのに何をもって市民に事前質問受け付けますと言えるのであろうか。質問などできるはずがない。市や防衛省の、このようなやり方は市民を愚弄(ぐろう)しているとしか思えない。

■市民を愚弄する事前質問

 事前質問書には住所氏名の記入欄がある。なぜ質問にそれが必要か。防衛省による市民団体への監視活動や諜報問題が各地で起きている。参加者の個人名簿まで作成しているのだ。憲法で保障された思想信条、集会の自由に反する行為を平然と行っている。

 事前質問書の氏名や住所記載は防衛省に個人情報をさらけ出すようなもので、やがて「魚の釜中に遊ぶが如し」となりかねない。国会並みの事前通告など必要がない。

 また説明会で会場からの発言の機会がどれだけ与えられるかも疑問だ。都合の悪い質問は無視というのが通例だ。市民4万9000人に対し300人余の会場というのも問題だ。大ホールは空いているのに、なぜ中ホールで開催するのか。これで市民対象の説明会と言えるのか。会場外の人たちへの対応についてもモニター設置の計画すらないという。不誠実さは明らかだ。

 昨年12月、八重山建設団体連合会(黒嶋克史会長)が自衛隊誘致にともなうインフラ整備を防衛省に要望、知念議長ほか2人の市議も同席した。騒音、安全性、環境問題なども検証されていない中でである。自衛隊が石垣市にもたらす影響も考えずに誘致ありきとの批判は免れない。

■掃海艦一般公開は宣撫工作

 きょうとあすの2日間、海上自衛隊の掃海艦「やえやま」の一般公開が実施される。一般公開が自衛隊誘致機運を盛り上げる宣撫工作の一環であることは明らかだ。

 1999年3月の石垣市議会は「石垣市平和港湾宣言」を決議した。高邁な宣言を空洞化させるべきではない。アリバイづくりのような防衛省主催の説明会は即刻中止し、石垣市主催を模索すべきである。説明会をもって6月議会で誘致決議を考えるならば愚の骨頂と言わねばならない。


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