宮城県で来年9月に開催される第11回全国和牛能力共進会(全国和牛登録協会主催、全共)に向けて、石垣市内の2カ所で子牛の飼育が始まっている。全共は「和牛のオリンピック」とも呼ばれ、5年に1度開催。今回は全国39道府県から選抜された牛が改良の成果や牛肉の肉質を競う。石垣からは肥育部門第9区(生後24カ月未満去勢肥育牛2頭1群)への初出品を目指しており、血統などから選抜した4頭が生後6、7カ月まで順調に成長。全共に出品されれば、石垣牛のブランド力がさらに高まるものと期待されており、肥育農家は「互いに切磋琢磨(せっさたくま)して良い牛をつくりたい」と意気込んでいる。
同共進会八重山地区推進委員会(委員長・佐久盛繁石垣島和牛改良組合長)は3月15日、肥育部門に挑戦しようと、JAおきなわ八重山地区本部畜産振興センター八重山肥育センター(金嶺圭昇場長)=白保=と「と~家ファーム」(多宇司代表)=平久保=に肥育を託した。
全共の肥育部門は24カ月未満と通常の30カ月より6カ月も短く、飼育管理に難しさもあるが、県畜産研究センターが作成した八重山版飼育管理マニュアルに沿い、それぞれ2頭1群を飼育。推進委のメンバーが2カ月に1度、肥育状況を確認しながらアドバイスすることにしている。
県内では石垣市を含め5カ所で肥育部門の取り組みが行われており、来年6~7月にかけてエコーでさしの状況を確認するなどして県代表の2頭1群が選抜される予定だ。
八重山肥育センターで肥育を担当する畑瀬竜太さんは(39)は「今まではゆっくり仕上げていたが、今回はスピードが違う。マニュアルに基づきエサの量を増やして短縮しなければならない。毎日、鼻水が出てないか、エサを食べているかみている」とチェックに余念がない。
家族経営の「と~家ファーム」で肥育を担当する多宇翔司さん(25)は「子牛は生後7カ月。現在は母(明子さん)が飼育しているが、9月以降から私が担当する。追い込まないといけないが、脂がつき過ぎるなどのリスクもあるのでうまくやっていきたい」と意欲的だ。
今回の取り組みは今後、石垣牛の肥育期間の短縮につながる可能性もあり、多宇さんは「30カ月前に出荷できる牛をつくれるようになれば、えさ代などコストの削減になる」、畑瀬さんは「石垣牛が不足しているので、1、2カ月でも短縮できれば出荷の回転が早くなる」と期待する。