本紙が「子どもの貧困」を最初に取り上げたのは2011年10月だった。本島地区で子ども支援に関わる13団体で「沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会」が発足したのを機に社説で取り上げたのだ▼今は6人に1人とさらに深刻化しているが、当時は7人に1人が貧困状態にあるとして同会が発足したが、八重山は同問題への関心が低いため、そこで3市町に実態調査の上で支援を求めたものだった▼あれから5年半、沖縄は16年度が「子どもの貧困対策元年」と言えるほどに、県をはじめ各市町村で本年度から対策事業が本格化。これを受けて連絡協議会も一定の役割は果たせたとして今年2月、解散した▼この間、国も13年に法律を制定し、昨年10月から企業に基金を求めたが広報費2億円に対し寄付は3月までに2000万円弱しか集まらず、安倍政権の本気度が批判された▼県が重点施策に掲げ対策を推進しているのは、県紙の連日のキャンペーンや県の調査で明らかにされた「沖縄が最も貧困が深刻」という事情がある▼その背景にはひとり親世帯の増と、企業が賃金の安い非正規社員を増やしている格差拡大があるだけに貧困は病気、事故、会社倒産などで誰もが陥る「明日はわが身」だ。貧困対策は格差是正と生活、教育など多様な支援策が必要だ。(上地義男)
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