公立保育所との給与格差を緩和しようと、認可保育園の職員に月額5000円を支援する石垣市独自の私立保育園職員改善費補助金は、本年度から打ち切られることが6日までに分かった。市は、国の補助金や県の事業に伴って保育士処遇改善費を確保できると判断、財政難を理由に本年度予算からカットしたが、現場から「全国的な保育処遇改善の流れに逆行するのではないか」と疑問の声が上がり始めている。
市によると、2015年度から始まった子ども・子育て支援新制度に伴い、国から認可保育園への補助金に保育士処遇改善費が含まれているほか、保育士の給与改善を支援する県独自の保育士ベースアップ支援事業(1億4205万円)が本年度から始まることを受け、認可園の整備などで増加傾向にある児童家庭課予算の伸び率を抑制するため補助金を廃止。前年度は1272万円を確保していたが、本年度からはゼロとなっている。
県子育て支援課によると、独自の支援事業は保育士の処遇向上により待機児童解消に必要な保育士を確保するのが狙い。一括交付金を活用して認可園を対象に3年間補助し、園の経営改善とともに保育士の給与のベースアップを図る。これを補助終了後3年間継続することが条件。今後、事業を具体化させる。
市は「保育士ベースアップ支援事業などの周知を図っていきたい」(児童家庭課)としている。
これに対し、認可園園長の一人は「公立保育所との給与の差は大きいので市の補助金は継続してもらいたい。県の保育士ベースアップ支援事業はふたを開けてみないと分からない」、別の園長は「本年度の補助金の申請をしようとしたが、4日に補助の予定はないと通知を受け、びっくりした。国、県も保育士の処遇改善に取り組んでおり、市も継続すべきではないか」とそれぞれ話した。