世界を揺るがすビッグニュースである。さまざまな組織や細胞になる能力を持つ「万能細胞」を、新たな手法で作ることに日本の若き女性研究 者らのチームが、世界で初めて成功させた▼理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方晴子研究ユニットリーダーのチームは、マウスを使い体細胞を弱い酸性の溶液に入れることで刺激を与えるという簡単、画期的な手法で世界的な大発見の万能細胞を作ることに成功した▼新手法で作製された万能細胞は「刺激惹起性多能性獲得」の英語の頭文字からSTAP(スタップ)細胞と命名。同様の能力を持つといえば、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥京都大教授の「iPS細胞」が記憶に新しい▼だが、STAP細胞は遺伝子を操作することなく、簡単な操作で短期間に効率的に作れる最大の特徴がある。iPS細胞で懸念される体内でのがん化の可能性も低いといわれている▼小保方氏は「細胞生物学の歴史を愚弄している」と、一度は世界的な英科学誌から研究を否定されている。それでも「泣き明かした夜は数知れない」と研究の虫はめげなかった。女子力強しである▼再生医療の道で人類の未来を開く可能性がある研究の成果。生命科学はどこまで進むのか。今後の進展に注目したい。(鬚川修)
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