岩手、宮城、福島の東北地方3県を中心に1万8000人を超える死者・行方不明者を出し、今なお17万人以上が避難する東京電力福島第1原発事故を引き起こすなど未曽有の被害が発生した東日本大震災から11日で5年が経過した▼テレビや新聞の特集で当時の状況が報道され、改めて津波のすさまじさ、被害の大きさが確認できた▼被災地では今なお大勢の人々が仮設住宅暮らしを余儀なくされる中、力強く一歩一歩再生に歩む人々の姿があり、復興の確かなエネルギーも感じることができた▼種もみの縁で、岩手県とかけはし交流がある石垣市でも11日、新栄公園で犠牲者追悼・復興祈念式があり、大勢の参列者が「私たちは忘れない」と、犠牲になった人たちに黙とうをささげ、1日も早い復興を願い、震災の記憶をつないでいく決意を新たにした▼同震災は、全国の街づくりにも大きな影響を及ぼした。石垣市でも市民が市庁舎の移転先を津波の影響を受けない高台を選択。与那国町も、さらに高い位置への庁舎移転を決めた▼震災で住民も地震・津波に対する意識が高まり、防災グッズをそろえるなど、万一の災害に備えている家庭も多いことだろう。災害から身を守るためには慢心はタブー。震災5年目に当たり防災に対する意識を再確認したい。(下野宏一記者)
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