【与那国】老朽化と狭さが深刻になっている町役場庁舎の建て替えについて町は、庁舎建設検討委員会(新里和男委員長、委員9人)から答申のあった与那国中学校東側の高台で、緊急防災・減災事業債を活用した建設を目指す。2016年度で地域防災計画を見直して高台移転を位置づけるとともに、実施設計で事業費を確定するなどして同事業債の申請をする予定だ。17年度の着工を計画し、19年度にも供用開始の見通し。
検討委は、現庁舎がある祖納地区中心部が津波などの浸水被害の危険性があることから、万一に備えた対策を講じる必要があるとして高台への移転新築が最適と判断。まとまった土地を高台で確保できる与中東側を候補地に決め、8日に答申。町もこれに沿って計画を進める方針を決定した。
標高は現地が3・5~6㍍で、与中東側は18~23㍍。現地の敷地の一部が県の津波浸水予測範囲に入っていることから、浸水範囲外への移転を要件の一つとしている国の防災・減災事業債を活用する考え。
新庁舎建設費は平屋の場合、概算で約8億円が見込まれる。事業債で対応できれば、起債対象額の70%が地方交付税で措置される。
与中東側は民有地で、3筆合わせて6122平方㍍。町は、将来的な診療所の移転に備え、現庁舎敷地約3400平方㍍の1・5~1・8倍の5000~6000平方㍍を確保したいとしている。不動産鑑定を行って用地を購入する予定だ。
与中東側は現庁舎から直線距離で約530㍍の位置にあり、やや離れているため、答申では新庁舎へのアクセス道路の確実な整備と公共交通機関の充実を図るよう要望。現庁舎跡地については、地域全体の活性化が図られる場所として提供できるよう検討を求めている。
新庁舎の延べ床面積は2500~3000平方㍍程度とされており、議会や教育委員会、農業委員会、保健指導所、水道管理センター、商工会、観光協会、指定金融機関窓口、消防施設、会議・研修室を含む。