歴史文化資料館6月開館へ
【与那国】外間守吉町長は10日、3月定例町議会(糸数健一議長)で2016年度の施政方針演説を行い、陸上自衛隊沿岸監視部隊160人の配備に伴って15人の児童生徒を含む家族94人が転入してくることを明らかにした。町によると、児童生徒15人のうち12人が与那国小、2人が与那国中、1人が久部良小にそれぞれ入学・転入し、与小では4・5年の複式学級が解消されるという。外間町長は「自衛隊誘致の効果が早速表れている」と述べた。隊員と家族は22日までに現地入り。部隊は28日に編成される。
町長は自衛隊配備について昨年2月22日の住民投票に言及した上で「賛成票が多数を占め、多くの町民からその問題については一定の区切りがついたと考えているという声が寄せられている。今後は多くの家族連れ隊員が、与那国町に移住を希望できるような環境を整えていきたい」とした。
庁舎建設位置については、有識者らで構成する庁舎建設検討委員会から「与那国中学校東側とする」との答申を受けたと報告。答申に沿って計画を進め、新年度で基本設計・実施設計を行い、17年度に着工を目指す。
離島住民の割高な生活コストの軽減を目的に県と町が一括交付金を活用して実施する「離島食品・日用品輸送費等補助事業」は7月から始まると説明、「価格低減に対する住民実感度など、事業効果の発現状況を把握しながら事業実施に取り組む」とした。
与那国島歴史文化交流資料館については「6月に開館を予定している。当館とさまざまな自然・観光資源とを結んで町全体の観光交流を図っていく」としている。
特産品開発では与那国産クシティ(パクチー)を取り上げ、「他地域産とは違って特異な味、香りがあり、ハーブ愛好家から脚光を浴びている」として長命草に次ぐ特産作物として推進する考え。
「海底遺跡」については学術的な調査を実施して文化財的価値、自然科学的価値があるかどうか検証し、これを踏まえて国の史跡登録や世界遺産登録、ジオパーク登録などを想定した取り組みを検討する。
これまで数回にわたって氾濫し、民家の浸水被害をもたらしている田原川の改修について「県は2018年度の事業採択に向けて町と調整しているが、計画の前倒しを強く要求し、町民が安心して暮らせる河川改修を要望する」と述べた。