中国の厦門を起点に7月から石垣島に34回の寄港が予定されていたスタークルーズ社の大型クルーズ船「スーパースターリブラ」(バハマ船籍、総トン数4万2285㌧、全長216㍍、乗客定員1418人)の寄港がキャンセルされる見通しであることが8日までに分かった。県内への寄港地は那覇と宮古に限定されそうだ。沖縄シップスエージェンシー石垣支店の松田新一郎支店長は「キャンセルはほぼ固まっており、正式な通知はこれから。石垣から宮古にスライドする形」と明らかにした。(砂川孫優記者)
増加傾向にある今年の外航クルーズ船は石垣港に138回の寄港が予定され、入域観光客も前年の約20万人を上回る見込みだったが、6年ぶりに寄港が予定されていた「リブラ」のキャンセルは市内の飲食店を中心とした観光業界に大きな打撃を与えそうだ。
市街地にある焼き肉店の店員は「キャンセルは寝耳に水。クルーズ船の寄港増加で外国人観光客の来店が増え、設備投資も検討していた。見直さないと」と嘆いた。
ユーグレナモール内で特産品を販売する女性店員は「新しい港ができるので海路の誘客に力を入れてほしい。この影響が他の船に広がらないか心配」と表情を曇らせた。
リブラの寄港キャンセルについて松田支店長は「理由はまだ分からない」としながら、「石垣は宮古よりも観光コースは多く、魅力は高い。しかし、官民一体となったスピーディーな取り組みが宮古に対して石垣は欠けている」と指摘する。
宮古島市観光課によると、宮古への外航クルーズ船の寄港は28日の「スーパースターアクエリアス」からスタートする。
「リブラ」は昨年、7年ぶりに同市に寄港し、12回、約9400人が来島。今年は49回の寄港が予定されている。
同課の担当者は「ハード面の課題は多いが、ソフト面でニーズに対応できたと思う」と手応えを語る。
石垣市観光文化スポーツ局の大得英信局長は「原因や理由の情報を集めて対策したい。次年度は国内に拠点を設けている船会社を訪問して誘客活動を展開したい」と話した。