長雨にうんざりしていただけに、青空をバックに咲いているヒカンザクラを見ると島の春を感じる▼「育てよう文化の心・文化のまち」を合言葉に、春恒例の石垣市民総合文化祭が催された。展示の部では織物、木工、陶芸、写真など12部会の個性あふれる力作がズラリ、書道や華道は各流派、会派の作品が一堂に並び観賞できるのが楽しみだ▼ただ毎年気になっているのが中ホール。展示専用でないため照明が薄暗く、展示ボードが汚れているなど環境が悪く、特に絵画や生け花、織物にしても作品の魅力が半減しているように感じる▼先日、八重山音楽協会や市文化協会など74団体が市に「八重山音楽・芸能館」建設を要請した。現在はイベントの多くが市民会館で催され、予約が取りづらいことや、中ホールは芸能や音楽面で音響や照明が十分でないなど問題点を挙げている▼もう少しコンパクトでステージ機能や音響、照明などが充実され、小グループや個人でも幅広く何にでも活用できる施設がほしいという声は実演家たちからもよく聞く▼島に根づく豊かな芸術文化を守り、育てていくのはとても大変なこと。継承活動に発表の場は不可欠だし、市にとっては庁舎移転後の中心市街地の空洞化や跡地利用を含め検討してほしい課題の一つだと思う。(辻本順子)
↧