【西表】イリオモテヤマネコ保護増殖検討会(座長・土肥昭夫元長崎大学環境科学部教授、委員4人)が22日午後、竹富町離島振興総合センターで開かれ、環境省那覇自然環境事務所が2016年度中に「イリオモテヤマネコ保護増殖10ケ年実施計画(案)」を策定すると報告した。ヤマネコの生息環境を整え、国の生物多様性国家戦略に沿った取り組みを展開するとともに、奄美・琉球世界自然遺産登録に向けた保護担保措置とすることを目指す。
生物多様性国家戦略は、絶滅危惧種のランクの下がった種を増加させることを目標の一つに掲げている。ヤマネコは環境省のレッドリストで、ごく近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高いことを意味する絶滅危惧ⅠA類に分類されており、同計画によってヤマネコの絶滅危惧のランクを下げることにつなげたい考え。
ヤマネコは1965年に発見され、74年から生息調査などが行われている。95年には保護増殖事業計画が策定された。個体数は、生息環境の悪化や交通事故の増加などで減少し、05~07年に実施した第4次調査では推定100頭とされる。
10ケ年計画は▽生息状況の把握・モニタリング▽生息環境の維持・改善▽傷病救護▽交通事故対策▽外来種対策・普及啓発|の5項目を重点に、新たな調査手法の確立や、これまで調査が行われていなかった山間部でのモニタリング、ヤマネコ観察など観光利用のルールづくり、えさ場の維持・再生などを行っていく。