子どものころ、昼間ならちっとも怖くない墓地が夜になると怖かったのは、暗闇のせいではなかったかと今にして思う。文明は暗闇を追放することで幽霊を筆頭に怖いものを駆逐してしまった▼旧十六日祭を前に墓の大掃除に出かけた。身内の月命日、彼岸、旧盆と普段から墓参し、きれいにしていれば、改めての大掃除などは無用。実際葬式と旧十六日祭以外は墓地に行かないのが島の実情▼掃除をしてもらえない墓も増えた。身内が島外に移住して墓守ができなかったり、子孫に継承できなかった無縁墓など。雑草や雑木に覆われた墓も多い▼遺灰を形見として身近に置く時代、私たちも墓に対する考え方を変えなくてはと思う。大川在住のある方は家庭ごとの墓は不要、屋敷に穴を掘り亡くなった順に上から散骨する一族の塚で結構、ひとり者も出戻りも血縁者と一緒なら安心できると提案されている▼地域の土地利用の都合で点在している墓地の区画整理も必要。生きている人が貸家や中古住宅を求めて住み替えしているように放置された墓は使えるなら改装、使えないなら更地にして必要な方に譲るなど、墓物件を扱う不動産屋があってもいい▼多様な埋葬の時代。バンナ公園隣で造成中の管理墓地公園の分譲が島の墓地にどう影響を与えるのか注目したい。(仲間清隆)
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