先日、東京の大手家電店に行くと、人気の携帯電話販売コーナーが、大きく様変わりしていた。多くの家電店が入り口近くの目立つ場所に売り場を設け、時折大幅割引のタイムセールを打つ▼新機種が発売されると、長蛇の列。そうでなくても、ケースなどの関係用品を買い求める人でいっぱい。中国・韓国からの観光客も目につき、活気をみせていたが、今年に入って大手携帯電話会社のコーナーは、どうも元気がないように思える▼一方、多くの人を集めていたのがMVNO(仮想移動体通信事業者)コーナー。これは携帯電話の無線通信回線設備などを持たず、大手携帯電話会社から回線を借りて携帯電話やPHSなどの移動体通信サービスを行う事業者で、料金を安く抑えている▼携帯料金については、安倍総理が「家計の負担が大きい」と総務省に軽減策を指示したことから、大手携帯会社は、今春から「月額料金5千円以下」のコースを選べるよう足並みをそろえる▼ところが携帯会社が行っていた「実質ゼロ円」も廃止され、分割で機種を購入することが多かった若い世代は逆に厳しい状態になった。これら若者を中心にした人々は格安料金の「MVNO」会社に動いた▼大手家電店の大手携帯電話コーナーは逆風が吹く。よかれと思って行政は介入しただろうが、結果はマイナスに振れている。(黒島安隆)
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