■住民投票に行こう
申(さる)年は明けたと思ったらもう2月だ。八重山高校の甲子園出場は夏の楽しみに持ち越されたが、1日からは千葉ロッテがキャンプインし、球春が訪れた。9年目のことしは地元出身の大嶺兄弟をはじめ各選手の頑張りで石垣で2度目となる「日本一」のパレードを見たい。天候に恵まれ、実り多いキャンプになることを願う。
今月は7日に石垣市のまちづくりを左右する市庁舎の建設位置を問う住民投票が行われる。選択肢は「現在地」と「旧石垣空港跡地」の二者択一。津波や地震の防災面と国から財政支援がある費用面から旧空港跡地の高台に移転新築するか。あるいは移転となると中心市街地が衰退すると商店主らに不安が根強いことから、現在地で建て替えて従来通り市役所を核にしたまちの発展を進めるかが焦点。
期日前投票も始まっているが、幸い市民の関心はまずまずだ。石垣市のまちづくりの方向性を決めるために積極的に投票しよう。投票率が50%を切るようならその有効性は検討が必要だ。
■自衛隊は企業でなく「軍隊」
石垣島への自衛隊配備は先月、予定地周辺の3公民館がそろって反対を決めたことで市民の反自衛隊感情の強さも明らかになった。防衛省は直ちに配備をやめるべきだ。辺野古新基地のようにまた自衛隊配備も強行するのか。
それにしても石垣島自衛隊配備推進協議会の「自衛隊は大企業」のたとえや、3市議と八重山建産連会長が防衛省に要望した自衛隊配備と引き換えの石垣市のインフラ整備は、その感覚に驚いた市民は少なくないだろう。
いくら住民受けのいい「災害救助」を強調しても自衛隊の本質は、有事となれば一般住民も巻き込んで殺し殺される戦争集団の「軍隊」であり、決して企業でも災害救助隊でもない。
反対派の「観光は平和産業」に対し自衛隊推進派は、「沖縄本島やハワイも基地はあるが、観光客はいっぱいではないか」と反論するが、それは「平時」だからだ。その証拠に2001年の米同時テロの際は本島に米軍基地があるだけで八重山も観光客が激減する甚大な風評被害を受けたではないか。
自衛隊推進協や建産連も、本音では有事を全く想定していないためにそういう発想なのだろう。それなら自衛隊配備も必要ないはずだ。さらに推進協には市商工会長や建設業協会支部長らが役員に名を連ねているが、それは個人参加なのか組織参加なのか。
■3市町の実態はどうか
沖縄の子どもの貧困率は29.9%で約3人に1人が貧困状態にあることが県の実態調査で分かった。全国の貧困率は16.3%、約6人に1人だが、沖縄はその2倍で極めて深刻だ。
都道府県単位の貧困率調査は初めてであり、県では16年度から独自に30億円の基金を創設。さらに国も同年度に10億円を予算計上しており、国・県が本格的に貧困対策に動きだす。
八重山の実態は見えにくいが、その状況を把握したうえで実情に即した対応をしっかりと取るべきだ。現在3市町がそれぞれ行っている児童生徒の就学援助も、まず十分周知されているか支援漏れはないか再点検が必要だ。