文化財を火災や震災などから守ろうと文化庁と消防庁が主唱する「文化財防火デー」(1月26日)にちなむ防火訓練が29日午前、石垣市石垣の国指定重要文化財の権現堂で行われた。訓練では権現堂内に設置されている屋外消火栓のホースが2本とも破れており、水が漏れて拝殿まで届かないという事態が発生。放水銃も周辺の木の枝が邪魔し、水が届きにくいことが課題として挙がった。
訓練は、権現堂拝殿裏に捨てられたたばこの残り火から火災が発生したとの想定で実施。初期消火にあたった清掃人が桃林寺に火災を知らせ、小林昌道住職や現場に急行した消防職員が消火作業に当たった
市消防本部の大工嘉広消防長は「ホースはすぐにでも取り換えてほしい。それ以外は発見後の初期消火も良く、無駄なくスムーズに進められ、おおむね良好だった」と講評。
玉津博克教育長は「きょう挙がった課題にすぐに対応したい。常に点検をしながら文化財を守らないといけないとあらためて感じた。気を引き締めていきたい」と話した。
小林住職は「ホースの不備などについては実際に火災が起きた時でなく、きょう分かって良かった。万全な状態で作業にあたれるよう整備が必要と感じた」と振り返った。
権現堂は八重山の仏教伝来、社寺建立のはじめとされており、1614年に隣接する桃林寺とともに建てられた。近世の本格的な社寺建築の唯一の遺構で1981年に国の重文に指定され、観光地の一つにもなっている。
文化財防火デーは,49年年1月26日に奈良県斑鳩町の法隆寺の金堂が炎上し,壁画が焼失したことをきっかけに制定された。