【八重瀬】八重瀬町教育委員会は23日、石垣市出身の作曲家、宮良長包が作曲した「汗水節」の楽譜を含む戦前の資料を石垣市教育委員会に寄贈すると発表した。楽譜は現在、一般的に歌われている楽曲とは曲調が異なっていることが新たに分かるなど貴重な資料となっている。
県内で広く愛唱されている「汗水節」は、旧具志頭村(現八重瀬町)出身の仲本稔が作詞した楽曲。同町教委が進める資料収集事業で同町立具志頭歴史民俗資料館が7点を所蔵していた。
資料は、戦前の県が学校、官庁用に配布するためガリ版印刷した楽譜と歌詞から成る2枚の書面。仲本さんの長男、薫さんの意向で7点のうち、1点が市教委に寄贈された。
戦前の汗水節関係資料は戦災でほとんど焼失し、同町にとっても貴重なもの。長包関係者にとっては、楽譜に関する資料が少ない中で重要なものになる。
資料は、宮良長包生誕記念音楽祭実行委顧問の三木健さんが市教委に代わって受け取り、後日、届ける。八重瀬町で行われた贈呈で三木さんは「この曲がこの地で大切にされていることに敬意を払いたい。石垣市でも大事にしていきたい」と感謝した。
八重瀬町教委の金城隆雄教育長は「仲本が胸に秘めた思いを内外に伝えていきたい」と述べ、同音楽祭監督を務めた大山伸子さんは「作曲直後の資料で、今後、検証してどう演奏するかも検討していきたい」と感慨深く語った。
また、歌詞に関する資料は、歌詞中の文言が一部異なることも分かり、薫さんは「元歌への理解と協力をお願いしていきたい」と述べた。