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役所だけ高台移転は疑問

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■14年度中に選定

 築44年を経て老朽化が著しい市庁舎の建て替え計画を進める石垣市は、4月からスタートする2014年度中に建設位置の選定を迫られているが、市民の間から出ている「明和の大津波や東日本大震災を教訓に、役所は災害時の司令塔として旧空港跡地などの高台に移転すべきだ」という“高台移転論”には率直に言って疑問を禁じ得ない。

 それは役所の職員だけ安全安心な高台に移って、果たして美崎町をはじめとする新栄町や浜崎町、八島町などの埋め立て地や真栄里、白保、伊原間など海岸線に沿った低地に住む大多数の市民を見殺しにするのかとも言われかねない、そういう津波や地震から守る十分な防災対策を講じることができるかどうか不安や疑念が生じるからだ。

 役所(職員)と市民は生きるも死ぬも一緒の運命共同体として、高台に移転するならみんな一緒に移転し、低地に残るなら一緒に残って一蓮托生(いちれんたくしょう)の気概で危機管理することが、お互いあるいは市内にいるすべての人々の命と安全を守れるというものだろう。

 確かに役所職員も家族がいて、防災対策をおろそかにするはずはないは一理だ。しかし危機管理や防災対策に万全過ぎるということはない。役所と市民が運命共同体の同じ目線で対策に当たることでより万全が期せるはずだ。

 

■市民意見19日締め切り

 石垣市は3月までに基本構想を策定するため、今月19日まで建設場所を美崎町の現在地とするか、旧空港跡地の高台に移転するかなど同構想への市民意見を募っている。これらの意見を受けて市は14年度に基本計画を策定して建設位置を決定。基本設計や実施設計を経て17年度には工事に着手の計画。

 役所の立地は市の街づくりや防災対策の根幹をなすものであり、それだけに市民は積極的に声を出すべきだ。

 市のヒアリングに対して、現庁舎が立地する美崎町住民からは「市庁舎が移転することになれば中央商店街は空洞化し、周辺の商工業者にとって死活問題になる」と不安を訴え、現在地での建て替えで活性化を求めている。

 これに対し「現在の場所は津波の危険が高いし、埋め立て地のため地震のときは液状化の危険もある。役所は災

 

■防災対策は運命共同体で

 こうした声を受けて石垣市は、基本構想案に現地建て替えと移転建て替えの二つのパターンを提示。現地建て替えは津波被害を避け、周辺住民の避難場所とするため建物を中高層とし、液状化対策も示している。

 果たしてそれで津波や地震被害を防ぎ、避難救助など司令塔としての役割を果たすことができるか疑問も付く。理想は役所だけでなく市民も一緒にすべて高台に移転させることだが、それは一気には不可能だ。ならば現在地で市民の防災対策にどう万全を期すかだ。

 一人の犠牲者も出さぬよう、やはり役所と市民が運命共同体としてハード面、ソフト面で先例の災害に学ぶべきを学び、危機管理に当たるべきだ。


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