この国はいつかきた道に後戻りするのではないだろうか。そんな不気味さが国政に漂う自民党の若手国会議員たちの言動である▼これから国政を担うかも知れない議員たちが勉強会で「マスコミを懲らしめるために広告料収入をなくすよう働きかけるべきだ」と発言。招かれた作家の百田尚樹氏に至っては「沖縄の二つ(県紙)の新聞をつぶさないといけない」と述べ、憲法21条で保障された表現の自由をないがしろにした発言に批判の声が上がっている▼自分たちの気にいらない言論を権力で封じ込める。こういう若手議員を抱え、安倍政権は「美しい国づくり」を説く。戦前回帰を思わせる言動が国政にはびこれば行く末は危ういといわざるを得ない▼自民党は問題の底にある憲法と沖縄に対する歴史認識の欠如という根本的な解決を図らずして、更迭や厳重注意処分をもって清算を了とするようでは国の政治は退化する▼言葉が命の政治家の良きあしきは、ひいては国民に跳ね返ってくる。国の将来を決める安全保障関連法案を問う以上、あるがままに「国民の知る権利」に応えるべきだ▼子や孫の将来を案じ、老いてゆく戦争経験者たちの声にも耳を傾けずして「美しい国」ができるはずもない。(鬚川修)
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