イリオモテヤマネコとの共存や今後50年について語るパネル討論では、伊澤教授や奄美動物病院獣医師の伊藤圭子氏、環境省那覇自然環境事務所の前野生生物課長の阪口法明氏、認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金の戸川久美理事長、やまねこパトロール員の村田美樹さんがそれぞれ取り組みや意見を述べた。
阪口氏は、1972年の復帰後、開発を期待する地域住民が、ヤマネコの天然記念物指定に伴いヤマネコを優先する取り組みに反発した「人かヤマネコか?」問題が勃発した背景などを説明。今後、人とヤマネコが共存する島を可能にするため「早期の段階で地域や研究者、行政の調整が必要」と訴えた。
戸川理事長はヤマネコを発見した父・幸夫氏のアルバムから当時の様子や交通死亡事故の現状を紹介。死亡事故は昨年4件、今年は4月6日までにメス2匹が犠牲になっていると述べた。
村田氏は夜間、道路を走行する車のスピードを測定しデータ化した結果、2014年度データで50㌔以上の速度で走行する車はレンタカーの15%に対し、地元の人が運転する車が27%と多いことを報告。
伊藤氏はアマミノクロウサギの被害状況を報告。15年はすでに19件の死体が回収され、14年度の73件を上回る恐れがあり、主な要因の一つに交通事故も含まれていると述べ、その中にはハブ捕りの人々の速度超過が問題視され、西表同様、速度を抑えることへの地域理解が課題と話した。