自転車に乗る、ダンスをするなど身体が覚えてしまうと終生身についてしまう動作は多い▼本日開催される全国凧あげ大会に、かつて石垣島の子どもたちが時のたつのを忘れて熱中した凧(たこ)遊び=上げ糸に草束を結わえ簡単に捕まえられないよう代わりばんこに放り投げて遊ぶ=ハナスクナー(離っしこ)が再現される。地域によって呼称がスティクナー(捨てっこ)、ウチャナンギクナー(放りっこ)と変わるのも面白い▼大人が目を細めて昔を回想する時に決まって口にするのが正月の凧あげ光景。朝目覚めると島の空は数えきれないほどの凧に覆い尽くされていた然々と▼しかし当時でも子どもに凧を作ってやれない家庭はあり、その子らは友だちの凧を指をくわえて見上げているしかなかった。そんな中で生まれたのが凧遊びのハナスクナー。凧を作ってもらえなかった子も一緒になって走り回り、草束を捕まえ損ねて大事な凧を逃がし、はるかかなたへ見失ってしまうまで遊びは続いた。今の子どもたちにこんなに夢中になれる遊びがあるだろうか▼外で一緒に遊ぼうと誘っても外は暑いから嫌だ。携帯ゲームが楽しい。一人の方が気楽と冷めている▼でも友と汗をかき、ケガをするかもしれない遊びを通して得るものもバカにはできませんよ。(仲間清隆)
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