沖縄公庫八重山支店の2014年度融資額が、61億6千万円を記録した。前年度実績を約16億円余も上回り、飛躍的な伸び▼新空港開港後、経済動向の様子をうかがっていた企業や新規起業者が設備投資に踏み切り、国営土地改良事業や空港バイパス道路計画など、大型公共事業を見込んだ建設関連の投資意欲が見られる▼好調な観光が景気を下支えしているが、決して望ましい形で推移しているわけではない。というのは観光入域60万2千人余だった平成11年と、過去最高の112万1千人余を記録した平成26年とで「観光消費額」は、101億円の差にとどまっていることだ▼観光客が2倍弱の増加だと、観光消費も倍増と期待したい。ところが平成26年の観光消費額は653億円だった。もちろん地域最大のリーディング産業であり、最大の経済効果だ。景気低迷が長引き、旅行者の節約志向が影響しているのだろう▼一般住民が観光客の増加を最も実感するのは、居酒屋かもしれない。地元客には予約を入れる習慣が根付いていない。座席の確保に焦った人もいるだろうし、食堂に入れば観光客でいっぱいという体験もあるだろう▼観光客の数で地域経済を循環させるのは効率的でない。宿泊日数の延泊に、重点を置いてほしい。現在主流の2泊3日型が続けば、飛躍的な経済効果は期待できない。(黒島安隆)
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