Quantcast
Channel: 八重山毎日新聞社
Viewing all articles
Browse latest Browse all 16824

医療は限りある資源

$
0
0

■感謝・交流の集い盛況

 八重山の医療を守る郡民の会主催による「ありがとう~よろしくねの集い」が先月末、和やかに開催された。

 本年度郡内に赴任する医師、看護師や医療関係従事者ら45人を歓迎、交流する集いで本年度、結成以来5回目の開催となった。また長きにわたり医療業務に従事し退職した2人も八重山市町会と郡民の会連名による感謝状が贈呈され、全国的に医療崩壊がささやかれる中でこのような歓送迎会を郡民レベルで行っている地域は少ないと聞く。 

 郡民の会は安心して医療が受けられるよう行政と共に医師確保や不慣れな勤務地で地域住民との交流を深める中で、少しでも長く勤務してもらおうと民間ならではの発想で取り組みを進めているが、住民パワーに期待したい。

■設計は順調に進む

 老朽化した県立八重山病院の新築移転は設計業務が順調に進み、本年10月着工、平成29年10月完成を目指していて、郡民が強く要望していた急性期の中核病院として地域で完結できる先進的な医療体制の構築、口腔(こうくう)外科の新設を含む23の診療科設置、302の病床数を有する近代的な姿に生まれ変わる。限りある医療資源を有効に活用するためには近接地に移転を要望している「かりゆし病院」との医療連携を深め、療養型病床の増床を図ることは地域として重要な課題となる。

 ただ、旧石垣空港跡地の建設予定地には下水道施設が間に合わないため、当面独自の浄化槽設置を余儀なくされ、建築・維持コストの増加問題や相次ぐ不発弾発見で、周辺一帯の磁気探査実施と迅速な処理など大きな課題が残っているが、住民不安を取り除く強固な体制で取り組んでほしいものだ。

 本年4月、ヘリコプターによる海難救助や急患輸送のため、海上保安庁石垣航空基地に全国9か所目の設置となる機動救難士が配属され急患輸送体制が強化されつつあるが、川平、伊原間地区で行っていた急患搬送業務が消防法に違反するとして一時停止したことは大きなショックと不安を与えた。

 今後北西部発展に対応するには正職員の増員を図るべきだろう。消防職員の充足率は消防庁の指針に対し、県平均は53%、石垣市は47%と少なく八重山病院や石垣航空基地の整備等と連携した搬送体制の確保が急務である。

■地元医療資源の活用を

 八重山病院の平成24年度決算は総収入が49億円余、総支出は47億円余、経常利益は2億円余と発表されているが、累積赤字は26億円を抱えている。25年度は黒字を確保したもようだが26年度は赤字決算が予想されている。厳しい職場環境の中で医療スタッフの献身的な努力で勝ち得た決算だが、この5年間は、入院患者総数に大きな変化はないが、手術の減少、外来患者数の減少が経営上の課題となっていて外来患者は1日585人から429人に減少している。地域医療を守るにはコンビニ受診やタクシー代わりの救急車利用を避けるのは当然だが、本島などに比べても遜色ないスタッフや設備をそろえている地元病院を信頼し、賢く病院と付き合う必要がある。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 16824

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>