自らが推薦した憲法学者までが「憲法違反」と意見したのに対し、これをあくまで「合憲」と一刀両断に切り捨て、何としても“戦争法案”の安全保障関連法案を通そうとする政府・自民。これではまるでテレビの「水戸黄門」に出てくる悪代官のようなものだ▼しかも憲法学者らのこの指摘に衝撃を受けた谷垣幹事長が、党所属議員や全国の地方組織に「集会や街頭演説などで国民の理解を促すよう」指示したのはまさにその構図だ▼いわばこの紋どころが見えぬかと「違憲」を突きつける黄門様たちに、悪代官が「何を言う。皆の者かかれー」と最後の悪あがきをしているそういう構図だ▼しかし自民や公明の皆さんは、本当にすべてが安倍首相が言うように同法案は違憲でないし、自衛隊員は誰も殺されず殺さない真の「平和法案」と思っているのだろうか▼自民党は小選挙区制導入以降、選挙と人事を握る首相らに逆らえない状況があるという。そういう中で同党の村上誠一郎衆院議員は憲法学者の指摘を切り捨てる政府・自民を「自分たちが法律という姿勢は傲慢(ごうまん)」と批判▼あるメディアによると、日本の憲法学者で安保関連法案を「合憲」とするのはわずか10人程度。大多数の210人余は「違憲」としており、政府が今やるべきは同法案の撤回だ。(上地義男)
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