市蝶オオゴマダラを街中で増殖しようとの運動に賛同し十数年来、食草のホウライカガミを庭で増やし続けている奇特な方がいる▼大分前に苗をお願いしてあったのを思い出されたのか、先日、その方から取りに来てと声をかけられた。1鉢のつもりで行ったら、たくさん持っていけとおっしゃる。10鉢を数えたところで辞退したがさらに10鉢余を下さった▼自宅用に2鉢、隣のKさん宅に2鉢と指折ってみたが後が続かない。そこで友人知人を訪ねて配ることにした。1軒目は2鉢で成功。ところが2軒目からは断られてばかり▼「チョウは平和の使いみたいで大好きだ、金色のさなぎも福を呼びそうで悪くない、しかしあの赤い毛虫はどうしても嫌だ」の一点張り。1鉢だけ協力すると引き取ってくれた友人も外出から帰ってきた連れ合いの猛反対に根負けし返しにきた▼食草はキレイなチョウになる幼虫を育てるもので毛虫抜きにはチョウの誕生は考えられない。どうして人間は生き物の好き嫌いを見かけで判断してしまうのかな。見かけ倒しの人様よりよっぽど毛虫の方がかわいいのに▼とはいえ、託された鉢の食草はこちらの焦りに関係なく大きくなっていく。加えて通りで出会う軽トラックの運転手が全員奇特なあの方に見えて、脇道へ逃れたくなるこの頃。(仲間清隆)
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