【那覇】2010年2月に石垣市内の託児所で、代表者が外出中に当時生後3カ月の新城寛勇ちゃんがうつぶせ寝のまま心肺停止となり、死亡した事故で両親が女性代表者ら3人と県、市を相手に損害賠償を求めた民事訴訟は27日、那覇地裁(鈴木博裁判長)で託児所側との和解が成立した。託児所側がうつぶせ寝させたこと、長時間無人にしたことを認め陳謝し、対価として一定の和解金を支払うとする内容。県と市も10月の和解に向けて準備が進められている。
和解は両親らが同日午後、県政記者クラブで会見し、明らかにしたが、和解金については公表されていない。会見で母親の良乃さん(37)は「託児所を無人にしなければ私の息子は助かった。託児所側は和解に同席せず、事故後も一切の謝罪がない。悔しい。自分の行動を反省して息子に謝ってほしい」と述べ、言葉を詰まらせた。
父親の寛将さん(同)は「まだ整理ができない。納得のいかない部分があり、とても悔しい。(再発防止に向けて)うつぶせ寝が危険ということを発信できたのではないか」と述べた。
那覇地裁は死亡の原因を裁判所として現段階では判断できないとして、原告と被告双方に今月14日に和解を勧告した。県と市は指導監督の条項などを含めた和解案を9月議会に提案し、同意を得て10月に合意する方向で作業を進めている。
両親は10年6月に託児所代表の女性を保護責任者遺棄致死と業務上過失致死の疑いで八重山署に告訴。同署は病死と判断して捜査を打ち切った。両親らが3万8000人余の署名を集めた活動などで再捜査を求めたが、県警も再鑑定で死因を病死と位置付け、12年11月29日付で不起訴となった。両親はそれを不服として同年12月14日に損害賠償を求めて民事訴訟を起こしていた。