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絞り込みは「新空港方式」で

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■「高台」「現地」で綱引き

 石垣市の新庁舎建設は、「現地建て替え」か「高台移転」かで両派が激しく綱引きを演じ、当初計画では昨年12月までに決定の予定が、今年にずれ込むなど難航している。

 市当局は去る19日の第4回石垣市新庁舎建設基本計画策定委員会(委員長・神谷大介琉大工学部助教、委員20人)に、最終候補地として▽現市役所▽旧空港跡地▽現八重山病院跡地−の3カ所を提示。同委員会はその中から来月の第5回会合で決定することになったが、3案の主張の隔たりは大きく、取りまとめは難航が必至。

 そこで提案したい。絞り込みは新石垣空港の建設位置を取りまとめた「新石垣方式」も参考にすることを。

 新石垣空港建設位置選定委員会(委員長・東江康治名桜大学学長、委員36人)は、稲嶺恵一知事誕生翌年の1999年6月に同知事の意向で発足。それまで白保海上案に始まって宮良牧中など19年間も二転三転して難航した建設位置を現在のカラ岳陸上に決定し、ようやく一昨年の開港にこぎつけた。

■新空港は4案から絞り込む

 新空港はカラ岳東など4案の中から2000年3月までに、全会一致を原則として決めることを目標に選定が始まった。絞り込みの方法は、新空港は農政上の課題と環境面の課題が争点だったことから、これに予想就航率などの運航条件、航空機騒音などの社会条件、海域の埋め立てなどの自然環境改変、事業費などの建設条件−を加えた24項目の比較項目を並べ、その中から各委員一人一人が特に問題ない〇、多少問題はあるがやむを得ない△、選定すべきでない×方式で選定した。

 そして最初に宮良牧中など2案を除外。残り2案から委員36人が良い21人、やむを得ない10人、悪い4人、1人態度保留でカラ岳陸上を選定。総括審議を経て目標通り、約20年間も迷走した建設場所がようやく決まった。

 石垣市の新庁舎も、現在の市街地の活性化重視で現在地に建て替えるか、東日本大震災を教訓に津波発生などの防災対策を重視して旧空港跡地や移転予定の八重山病院跡地の高台に移転するかで互いが意見をぶつけ合い、検討委員会の絞り込みは容易でない。

■分庁舎案も含め比較検討を

 そこで市当局は「新石垣方式」を参考に、3案に新たに提案された「分庁舎案」も加えて防災やまちづくり、事業費などの面から提起された各案の善しあしや課題、懸念に対する対策など細かな比較データを提示。それをもとに20人の各委員が新空港選定と同様にそれぞれ〇×や採点などで各案を評価して1案に絞り込み、これを総括審議して最終決定するのも一つの方法だ。

 高台移転は、国の緊急防災事業を導入すれば建設費用が大幅に軽減される上に仮庁舎の必要もなく、財政面のメリットは大きい。一方で役所移転はまちの在り方を根幹から変え、移転すれば現在の中心市街地の衰退に加え観光客はじめ大多数の市民が居住する低地帯の防災対策がきめ細かさを欠き、おろそかになる懸念や不安も根強い。

 検討委は来月の次回会合で決定の方針だが、この問題は百年の大計であり市当局は結論を急ぐべきでない。


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