14日、政府は自衛隊が地球規模で活動する“戦争法案”ともいうべき新たな安全保障関連法案を閣議決定した▼憲法9条の下、日本が戦後70年間一貫してきた専守防衛の安保政策を大転換。米国に追随していつでも、どの国とでも「戦争できる国」に道を開くものだ▼悲惨な沖縄戦を描いた映画「ひめゆりの塔」に出演した女優のひとり香川京子さん(84)が、「この1年くらいで急に戦争が近づいてきた感じがします。何となくとげとげした空気でしょ」と恐れていたのが現実のものになろうとしているのだ▼先月下旬、共同通信のインタビューに応えた香川さんは、「国民の命を守ると言葉で言うのは簡単だけど戦争が一番命を軽くするし、いざ戦争となれば国が一人一人の命を守ってくれないのはあの時代を振り返れば分かる」と語る▼本紙の戦後70年企画「あなたへ|語り継ぐ思い」(5月14日号)の中で辻野ヒロ子元県議(71)の両親は、自らの戦争体験から「二度と戦争しないで」と願った。しかしその願いはどうやら危うくなった▼安倍首相は「日本が戦争に巻き込まれることは絶対にない」と断言したが、それはどうか。本土復帰43年、戦後70年—。世界ブランドの日本の平和主義を「命どぅ宝」でこのまま終わらせてはいけない。(上地義男)
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