川平で155㍉の豪雨
強い台風6号は11日午後11時ごろから約3時間にわたり石垣島地方を暴風域に巻き込みながら北上、八重山地方から遠ざかった。12日午前0時ごろ、石垣市登野城で北西の風44.1㍍、伊原間で37.6㍍、新石垣空港で36㍍、竹富町大原で31.4㍍、波照間で28.5㍍の最大瞬間風速をそれぞれ観測した。100世帯で停電があったほか、農作物に4000万円以上の被害が出ている。12日も海と空の航路で一部欠航するなど影響が出た。
登野城では台風が最接近した11日午後11時すぎごろから風と雨が急に強まった。その後、一時的に風が弱まり、台風の目に入ったと勘違いする人も。強い風は午前1時すぎには収まった。
石垣島地方気象台はこれについて台風が偏西風にのって速度が速まったうえ、暴風域も80㌔と小さく、最接近と暴風域に入るのがほぼ同時間帯となったため、暴風域に入ったのは短時間だったと説明している。
沖縄電力によると、於茂登トンネル付近で倒木が電線に接触。大浜で12日午前0時ごろから同4時ごろまで約100戸が停電した。
一方、空の便は12日午前中の石垣ー那覇便が欠航。約560人の足に影響が出た。離島航路は波照間、上原、大原、鳩間行きが欠航した。
総雨量は降り始めの11日午後5時から12日午前10時までに川平で154.5㍉、伊原間96.5㍉、上原92㍉、波照間87.5㍉、登野城79.5㍉だった。
葉タバコ被害甚大 収穫直前、農家に打撃
ビニールハウス倒壊
台風6号の影響で石垣市では12日、さとうきびや野菜などを中心に速報値で約4000万円の被害が確認された。収穫ピーク直前の葉タバコの被害は調査中で、農作物被害額は今後さらに増える見込みだ。竹富町は午後5時現在、被害の報告はなく、与那国町では被害は確認されていない。
市農政経済課によると、農作物被害はさとうきびで1508万円、野菜で1691万円、パインなどの果樹で499万円、花き87万円などとなっている。
被害の詳細がまだ把握されていない葉タバコは、商品となる葉が落ちたり、葉先が損傷したりした。今後、病害虫の発生も懸念されるという。
2015年産葉タバコは24人の農家が合わせて62.6㌶で栽培。3月22日から収穫が始まり、最盛期を迎える直前に台風が襲来するという最悪のタイミング。
生産農家は「ことしは最高の出来だったのに残念。打撃は大きい」と嘆き、石垣葉たばこ生産振興会の砂川利勝会長は「近年まれにみる豊作だったのに残念」と声を落とした。
白保でビニールハウスが倒壊し、収穫間近のピーマンに被害を受けた50代の男性は「もうすぐ収穫する予定だったのに…。最悪だ」と肩を落とした。