那覇市の波上宮に隣接する旭が丘公園内に「戦没新聞人の碑」がある。昨日、野鳥のさえずりが聞こえる公園内に建立されている碑を初めて訪ねた▼碑には「1945年春から初夏にかけて沖縄は戦火に包まれた。砲煙弾雨の下で新聞人たちは2カ月にわたり新聞の発行を続けた。これは新聞紙上例のないことである。その任務を果たし戦死した14人の霊はここに眠っている」と刻まれている▼沖縄戦で犠牲になった沖縄新報、同盟通信、朝日新聞、毎日新聞の大先輩たちだ。住民を巻き込んだ唯一の地上戦の惨禍を経験した沖縄で、報道を担う労働者たちが戦後70年の機会をとらえ、来る17日に「慰霊の集い」を開くことになった▼大先輩たちの冥福を祈るとともに当時、戦争を賛美する報道を行い、読者に情報を正しく伝えられなかった反省から「戦争のために二度とペンを、カメラを取らない。輪転機を回さない」と決意した反戦平和への誓いを新たにするのが開催の趣旨だ▼安倍政権は、国民議論をせぬままに、戦後日本の安全保障政策を大転換させる動きをみせるなど再び戦争への足音を高めているとしか思えない▼与那国島に続き、宮古、石垣にも新たに自衛隊の配備を計画している。惰性に流されてはいないか。歴史の教訓に学び、しっかりと現実を見極めたい。(鬚川修)
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