八重山諸島を含む琉球列島で漂着ごみの調査を継続している防衛大学校名誉教授の山口晴幸氏(66)が、1998年から2013年まで16年間のデータをまとめたところ、中国製ごみが27倍に増えていることが分かった。山口氏は「琉球列島は中国製海洋越境ごみの襲来で巨大廃棄場と化している」と指摘している。
データは沖縄、宮古、八重山諸島の14島で実施した調査結果をまとめたもの。延べ622海岸で135回調査した。
漂着ごみの総数は249万7723個で、国籍別の内訳は外国製23.6%、日本製3.2%で、73.2%が不明だった。
調査開始年のごみは海岸線1㌔当たり1437個だったが、年々増加し、12年には同1万6994個、13年には同1万1926個とそれぞれ11.8倍、8.3倍に増えている。
外国製ごみが増えているのが要因で、中でも中国製ごみは1998年の同138個から12年には同3757個、13年には3761個とそれぞれ27.2倍、27.3倍に激増している。これと同じ時期の台湾製ごみは3.1倍、1.15倍、韓国製ごみは2.8倍、3.8倍となっている。
山口氏は「沖縄の漂着ごみの大半は中国製ごみを主体とした近隣アジア諸国からの海洋越境ごみという地域的な特徴を有している。国は近隣アジア諸国との広域的な協議の場を継続的に設け、発生源対策について積極的に話し合う必要がある」と指摘。
さらに「富士山の世界自然遺産登録は、不法投棄された大量の廃棄物で見送られた苦い経験がある。世界遺産登録を目指す沖縄にとっては、とくに西表島では、漂着ごみ問題への対応は極めて重要だ」としている。