Quantcast
Channel: 八重山毎日新聞社
Viewing all articles
Browse latest Browse all 16830

まず役所窓口に相談を

$
0
0

 

 厚労省が今月1日に発表した1月時点の生活保護世帯は、全国で161万8817世帯となり、過去最多を更新したという。沖縄も2万5802世帯で受給者は3万5199人に増えた。

 さらに石垣市は2009年の628世帯926人が、13年度には866世帯1274人に230世帯余も増加。10年度から4年連続県平均、12年度から2年連続県内11市の平均を上回る保護率で、13年度の受給総額は約18億2000万円に上った。

 これを住民1人当たりの受給額全国ランキングで見ると、12年度は全国約1700の自治体中、沖縄は11市のうち9市が160位以内に入り、石垣市は42万8000円で那覇市や沖縄市に次ぐ79位にランク入りしている。

 このことは安倍内閣の経済政策「アベノミクス」がますます深刻な経済格差を拡大し、さらに観光客でにぎわう沖縄も県民所得が全国最下位の生活実態を裏付けるように、いかに生活に困窮した人が増えているかを示し、それは八重山も同様ということだ。

■生活困窮に7つの支援制度

 こうした中で今月から新たに、生活保護寸前のぎりぎりの生活を強いられる人々を救済する生活困窮者自立支援法がスタート。石垣市は福祉総務課、竹富町と与那国町は八重山福祉事務所にそれぞれ相談窓口が設置された。

 同制度は、いわば正規社員を減らして非正規雇用を増やす企業優先の安倍政治でこのように貧困や格差に苦しむ人々が増えているのに、生活保護などの社会保障制度がぜい弱なため、矛盾にも国のこうした雇用政策・福祉政策の不備を補う形で導入された。

 同支援制度では、前記の役所窓口に設置された▽ひとり一人の支援プランをつくる「自立相談支援」▽家賃相当額を支給する「住居確保給付金」▽就労への第一歩「就労準備支援」▽家計の立て直しの「家計相談支援」▽柔軟な働き方提供の「就労訓練事業」▽子どもの未来をサポートする「子どもの学習支援」▽住居のない人への「一時生活支援」ーの7つの事業がある。

■自立には企業の支援が不可欠

 その中で大切なのは秘密厳守で相談に応じ、自立の第一歩となる「自立支援相談」だ。役所は生活保護申請などのように敷居を高くすべきでない。

 ただ生活困窮からの自立は行政だけでできることでなく、企業の支援が不可欠だ。それは八重山でも非正規雇用の増加などで不安定な収入と低賃金により生活保護や生活困窮世帯が増え、母子家庭はより厳しいはずだからだ。

 その結果これらの世帯は「子どもの貧困」と「貧困の連鎖」に陥り、親の経済力により貧乏な子は進学を断念。富める子はいい大学に行き、いい職業に就くという教育格差で「人財」が育ちにくくなるというのは八重山全体だけでなく、企業の未来も暗くする。

 最近は好調な観光などに支えられて県内でも市内でも、正社員化や賃金アップなどの待遇改善が相次いでいる。生活困窮や生活保護を防ぎ、地元で人材を育てるために、石垣市は非正規と正規雇用の数や賃金格差の実態を調べた上で支援策を講じ、企業は正社員化など待遇改善での後押しが不可欠だ。

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 16830

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>