石垣市新川の児童養護施設「ならさ」(田盛広三施設長)が、今年8月に開所10周年を迎える。最初に計画した場所で猛烈な反対に遭い難産の末に誕生した施設だけに、建設に奔走した社会福祉法人「紺碧の会」の翁長克子理事長らの感慨もひとしおだろう▼同施設には現在、地元を主に沖縄本島や宮古も加えた2歳から18歳までの男子18人、女子7人の計25人が入所している▼それまでは親の虐待や離婚、死別、育児放棄などで養護の必要があっても、地元に施設がないためやむなく沖縄本島や宮古の施設に入所していた。そこで翁長氏らが建設を計画、2005年8月県内8番目の施設として開所にこぎつけた▼これまでに53人が高校を卒業し同施設を巣立った。この間子どもたちは父母の愛に恵まれないつらい過酷な境遇の中、何度かくじけそうになったこともあっただろう。それを施設の職員らに励まされ、仲間同士励まし合い、今年は4人が巣立った▼10周年を迎える翁長理事長らの今後の願いは、施設を離れる子どもたちの自立支援。というのも高校卒業後は自活となるため、頼れる親族がいない子どもたちは進学や就職の入学金や家賃、家財道具購入などの費用工面が障壁▼沖縄市の施設では自立支援会が発足。法人や賛助会員を募り支援が始まった。(上地義男)
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