「より対立が深くなるのでは、お会いしても意味がない」とはこれいかに。翁長雄志知事との面会について問われた中谷元・防衛相が記者会見で発した言葉である▼県民の声に耳を傾けることなく、翁長知事が繰り返し面会を求めても門前払い。米軍の辺野古新基地建設で政府の言うことを聞くまでは無視すると決め込む。誠に不愉快な話だ▼その態度には沖縄の現状を理解しようとせず米軍の都合のみを優先し、あくまでも新基地建設を強行する姿勢しかみえない。反対運動で対立の矢面に立たされているのが県民同士という悲しき現実もある▼辺野古の現場では警察官、海上保安官、米軍基地の警備員らがマスクやサングラスで顔を覆い、反対運動の市民らと対立する。異様な光景、米兵だけが素顔のままで騒動を遠巻きに見ている▼一方、市民らを24時間態勢で監視する沖縄総合事務局の職員が国の指示通りに動いているか、東京から派遣された職員が確認するありさまだ。職員の中には、新聞の写真やテレビに映っていたのを子どもが見て「お父さんは県民の敵になったのか」と言われ、ショックを受けた者もいる。県民断絶の状況、健康や精神面が心配されている▼沖縄の民意に背を向け続ける政府と政治家たちの言動、悲しきかな、人権への理解に乏しい“悪魔”の説明にしか聞こえない。(鬚川修)
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