サトウキビの病害虫イネヨトウ(メイチュウ類)を交信かく乱法によって防除する一斉作業が15日、崎枝、名蔵、嵩田、開南、於茂登の5地区計374㌶で行われた。県の一括交付金を活用して石垣市イネヨトウ防除対策本部(本部長・多宇弘充石垣島製糖㈱農務部長)が初めて実施。残る箇所を次年度で実施し、全域に拡大する。農薬による従来の防除法と併用することで被害の軽減を図る考え。生産農家は「防除しないと被害が拡大する」と話している。
イネヨトウは、サトウキビの若さやと茎の隙間に産卵。ふ化した幼虫がサトウキビの茎内を食害し、芯枯れ、折損などの被害を引き起こす。県内で広く確認されている。
フェロモンを使った交信かく乱法は、雌のフェロモンでオスを誘引、交尾する機会を減らして幼虫発生の密度を抑える防除法。すでに効果は実証されており、県八重山農林水産振興センター農業改良普及課によると、八重山ではこれまでに波照間、与那国、西表東部のキビ畑全域で実施した。
この日の一斉防除には県、市、農協、石垣島製糖、生産農家ら70人が参加。各班に分かれ、フェロモンの入ったひも状のチューブを、ほ場の周囲に立てた竹の支柱にくくりつけた。総延長7万4800㍍のチューブを設置、3~4カ月間、効果があるという。
10㌶でサトウキビを生産する伊敷繁光さん(66)=名蔵=は「根元に幼虫が入った所から上が枯れてしまう。被害は大きく、一斉防除はありがたい」と効果に期待。
多宇本部長は「サトウキビの増産には、イネヨトウなど病害虫の防除は避けて通れない。来年度で全域をやっていく。農家の力が必要だ」と話した。