庭を辞書で調べると敷地の中に草木を植えたり花壇や池や築山を造ったりしたところとある。あくまでも住む人が楽しむ内向き空間であり、塀越しに見えた花木にひかれ、つい入り込んでしまうことも。でも現代では侵入罪に問われてしまう▼弊社とメイクマンの共催で始まった「花と緑の街角コンテスト」が13回目を数えた。住む人を安らげて道行く人の心を和ませるよう工夫された庭を顕彰してきた。評価は、もっぱら通りからの視点▼当初はこの趣旨が理解してもらえず、積極的な応募は数えるほどだったが回を重ねるにつれ、開かれた庭を志す常連が出てきた。塀を低く積み直したり、生け垣にしたり、中には自宅の庭の手入れだけにとどまらず、通りの公共植栽ますにまで進出した人も▼自分で管理できる範囲だからと周辺の空き地などにも草花を植え、近くの公園にも負けない景観に仕立てた人もいる▼今年、コンテストで第1号の花と緑の達人に選ばれた伊野田の金城秀夫さんは、奥さんに先立たれた後、花をめでることで元気と生きがいを得たという。庭を見にくる人にお茶を振る舞い、花談義で盛り上がっている。増やした草花を鉢ごと持っていけとおみやげにくださる▼留守でも勝手に見物できる庭は花好きに悪い人はいないという金城さんの心そのものだ。(仲間清隆)
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