【黒島】旧正月の19日午後、竹富町黒島の東筋と仲本集落で、豊作と住民の無病息災を祈願する恒例の「旧正大綱引き」が行われた。会場には地域住民のほか、郷友や観光客も訪れ、ツナヌミンや大綱引きで今年の豊作を祈願した。また、県内でも数少ない旧正月行事とあって民俗学などの研究者も訪れ、大綱引きの様子を熱心に撮影する姿がみられた。
このうち、黒島東筋部落会(比屋定修会長)と石垣在東筋郷友会(西原一徳会長)の旧正大綱引きは同日午後2時過ぎから黒島伝統芸能館前で行われた。
南北に分かれて「正月ゆんた」の掛け合いで今年の豊作を祈願。たいまつがたかれ、若者たちが支える舞台の上で勇壮なツナヌミンが披露された。
「南が勝つと豊作」「北が勝つと豊漁」とされる大綱引きでは、地域住民や観光客らが南北に分かれて綱を引き合った結果、今年は引き分けとなった。
この後、南からツクドゥン(農民の最高位)、北からミリクが登場し、ツクドゥンに五穀の種子が託された。
3年前から黒島に足を運んでいるというルーマニア出身で琉大大学院、比較地域文化専攻博士後期課程のラドゥレスク・アリーナさん(27)=宜野湾市=は「旧正月の綱引きが珍しくて黒島を訪ねてきたが、綱引きだけではなく、豊年祭も黒島はユニークで面白い」と話した。